野菜の力
2016年12月16日
キャベツは冷凍・解凍しても栄養は減らない?正しい方法と保存期間
キャベツはさまざまな料理に使うことができる便利な野菜ですよね。しかし、1玉買うと食べきれないことがあります。冷蔵庫の中でかさばって邪魔になってしまうこともあります。そんなときは冷凍保存するのがおすすめです。冷凍することで保存期間が長くなり、無駄なく使い切ることができますよ。今回はキャベツの正しい冷凍保存方法を解説していきます。
目次
キャベツにはどんな栄養がある?
ビタミンC
キャベツにはビタミンCが豊富に含まれています。キャベツ100gあたりに含まれるビタミンCは、成人の1日の推奨摂取量の約4割以上に相当します。ビタミンCには抗酸化作用があり、コラーゲンの生成を促進するなど、美容には欠かせない栄養素のひとつです。免疫力をアップしたり、ストレスに対抗する力を作るなど健康にも欠かせません。発がん性物質を抑える効果もあるとされているんですよ。紫キャベツには、キャベツの1.5倍のビタミンCが含まれています。
ビタミンK
ビタミンKは脂溶性ビタミンのひとつで、血液の凝固促進や丈夫な骨を形成するのに欠かせない栄養素です。赤ちゃんや抗生物質を長期間服用している人はビタミンKが不足になりがちです。ビタミンKが不足すると、血が固まりにくくなります。
ビタミンU
薬の名前にもある「キャベジン」と呼ばれるビタミンUは、キャベツから発見された水溶性ビタミンです。胃酸の分泌を促したり、胃の新陳代謝を高める効果があります。タンパク質の合成を助けたり、肝機能障害の改善にも効果があるとされています。体内では生成されない成分で、もともと人間の体内には存在していません。必須栄養素ではありませんが、胃腸や肝臓への効果は認められています。水溶性でありながら、熱にも弱いという性質を持っています。
キャベツの冷凍方法
生のまま冷凍
キャベツを使いやすい大きさに切り1~2分冷水にさらしたら、水気をしっかりと切ります。キッチンペーパーなどで軽く抑えると良いですね。水気を切ったキャベツは保存袋に入れ、真空状態に近い状態にして冷凍庫に入れましょう。
茹でて冷凍
使いやすい大きさに切って熱湯で10秒ほど茹で、冷水で色止めをしましょう。ザルにあげ、しっかりと水気を切ります。キッチンペーパーなどで水気をふき取り、保存袋やラップに包んで冷凍しましょう。カサが減るためコンパクトに冷凍することができますよ。サッと茹でてから冷凍すると、比較的シャキシャキした食感が残ります。しかし、茹でて冷凍したキャベツは水っぽくなるため、炒めものには向きません。
自家製ミックスベジタブルもおすすめ
野菜の切れ端がたくさん出たら細かく切って「自家製ミックスベジタブル」を作るのもおすすめです。みじん切りのミックスベジタブルを作っておけば、オムレツやハンバーグなどに使うことができ、忙しいときなどにはとても重宝しますよ。普段の料理には使いにくい軸の部分を使って作るのもいいですね。
あらかじめ調理して冷凍することも
にんじんや玉ねぎと一緒に野菜炒めにするなど、あらかじめ調理してから冷凍することもできますよ。冷凍野菜炒めは、後で調理に使うときのことを考えて薄味で作りましょう。スープに入れることもできますし、インスタントラーメンに入れればグッと豪華になりますよ。シリコンカップなどお弁当サイズの容器に入れて冷凍しておくと、そのままお弁当にも使えます。
キャベツを冷凍するメリット
調理時間の短縮
生のまま冷凍したキャベツは、解凍しても塩もみしたような状態になり、生のようなシャキシャキした食感はなくなってしまいますが、その分塩もみをする手間を省くことができます。コールスローや胡麻和えなどにすぐ使えることができますよ。炒めものなどには、凍ったまま使うことができますので、調理時間の短縮ができます。
千切りとざく切り、など切り方を変えて何種類か保存しておくと、料理に合わせて使うことができ、とても便利ですよ。
長期保存できる
家族の人数が多く、キャベツを1玉買っても食べきれるのであれば問題ありませんが、少人数の家庭だとなかなか使い切れません。カットされたキャベツは丸ごとのものより割高で、保存期間も1~2週間程度と短くなります。
生のまま冷凍すると2週間程度しか保存できないので、あまり変わりませんが、茹でて冷凍することで1ヶ月程度保存することができます。できるだけ長く保存したいのであれば、茹でて冷凍するのがおすすめです。
食べようと思って切ったけれど食べきれなかったときなども、そのままでは2日程度しか持ちませんので、すぐに冷凍保存しましょう。
キャベツを美味しく冷凍するポイント
水気をしっかり切る
生で冷凍する場合も茹でて冷凍する場合も共通することですが、しっかり水気を切ってから冷凍することが美味しく冷凍する秘訣です。水気が残っていると、栄養素が失われる原因にもなります。解凍したキャベツも水っぽくなり、美味しくありません。キャベツの水気はキッチンペーパーなどを使ってふき取るようにしましょう。
なるべく薄く平らに
薄く平らになるように保存袋に入れることも大切なポイントです。市販の冷凍野菜はマイナス18度で急速冷凍すると言われています。家庭ではそんな設備はありませんので、できるだけ早く凍らせる工夫が必要になります。薄く平らにして冷凍庫に入れることで、凍るまでの時間が短縮できますよ。また、薄く平らに冷凍すると、冷凍庫の中の整理もしやすくなりますよ。
1回分ずつ小分けして冷凍する
まとめて冷凍してしまうと、全部くっついて凍ってしまい、使いたい分だけを使うことが難しくなります。保存するときは1回分ずつに小分けしておきましょう。茹でたものを冷凍する場合は、1回分ずつをラップに包んでから保存袋に入れるとコンパクトにまとめることができますよ。ざく切りのもの、千切りのものなど、数種類の切り方で冷凍しておくと、メニューに合わせたものを使うことができるのでおすすめです。
冷凍キャベツの栄養は
冷凍しても栄養は落ちない?
キャベツに多く含まれるビタミンCなどの水溶性の栄養素は、冷凍することで大きく損なわれてしまいます。キャベツは水分が多い野菜で、キャベツの栄養素はキャベツの水分に詰まっています。冷凍してしまうと栄養素が詰まった水分が凍ってしまい、解凍するときに流れ出てしまうのです。
ビタミンKなど脂溶性の栄養素は、冷凍しても失われることはありません。
できるだけ栄養価を損なわないために①急速冷凍
なるべく栄養価を損なわないように冷凍するためには、急速冷凍することがおすすめです。冷蔵庫に急速冷凍機能がある場合は使ってくださいね。
急速冷凍機能がなくても、アルミトレーなど金属のトレーにのせたり、冷凍庫の設定を強くすると、早く凍らせることができます。お菓子の缶の蓋などでもアルミトレーの代わりになりますよ。お菓子の缶の蓋に保存袋をのせ、その上に、ケーキ屋さんなどでもらった保冷剤をのせると良いですよ。
できるだけ栄養価を損なわないために②ブランチング
冷凍している間も酵素は働き、キャベツの酸化は進行していきます。そのため、冷凍する前に酵素の働きを止めることも、栄養素の流出を抑えるのに有効な方法です。
ブランチングと言われている方法ですが、加熱することで酵素の働きを止め、野菜の変色や栄養が落ちるのを防ぐことができます。沸騰したお湯でサッと茹で、冷水で一気に冷ましましょう。あとは普段の冷凍方法と同じで、水気をしっかりふき取って保存袋に入れ、真空状態にして冷凍庫に入れるだけです。
実は先ほど説明した「茹でて冷凍する方法」と同じ工程なんですよ。茹でて冷凍した方が冷凍解凍後もベチャベチャになりにくく、変色や栄養素の流出を抑えることができますよ。
キャベツを保存できる期間
冷蔵の場合
キャベツを冷蔵庫で保存できる期間は、丸ごと買ってきた場合で1ヶ月程度となります。カットしてあるものは1~2週間程度、ざく切りや千切りのキャベツは2~3日と言われています。細かくカットするほど空気に触れる面積が大きくなり、変色や乾燥を起こしやすいのです。茹でたキャベツも1~3日程度しか保存できませんので、食べきれない場合はすぐに冷凍しましょう。
冷凍の場合
茹でて冷凍したキャベツは冷凍保存で1ヶ月程度保存することができます。冷凍の状態が良ければ2ヶ月近く持つこともありますよ。しかし、あまり長く冷凍しておくと、冷凍焼けを起こしてしまったり味が落ちてしまいます。生のまま冷凍したキャベツは、茹でたものより賞味期限が短くなります。2週間程度で食べきるようにしましょう。いずれにしても、できるだけ早く使い切った方が安心ですね。
鮮度の良いキャベツを選ぼう
いくら冷凍保存ができるとはいえ、キャベツを買うときはできるだけ新鮮なものを選びたいですよね。丸ごと買う場合は、ずっしりと重みがあり、色が濃く、ツヤのあるものがおすすめです。軽いキャベツは、古くて水分が抜けてしまっている可能性があります。同じ大きさのキャベツなら、より重いものを選びましょう。
カットしてあるものを買う場合は切り口にも注目しましょう。切り口がみずみずしく、巻きがしっかりした物を選びましょう。軸が太すぎるものは、育ちすぎている可能性があり、葉にある軸の部分も太くなっています。軸の太さは500円玉程度、高さはキャベツの1/3程度のものが美味しいキャベツです。
春キャベツの場合は巻きがふんわりしているものが良品とされています。葉質が柔らかくツヤがあり、みずみずしいものを選びましょう。カットされているものの場合は、切り口がみずみずしいもの、芯の高さは高めのものが美味しいですよ。しかし、芯が高すぎると苦みが出ますので、高すぎるものは避け、2/3程度ぐらいまでのものがおすすめです。
冷凍キャベツの使い方
解凍する場合
電子レンジで軽く解凍して水気を絞れば、塩もみしたような状態になります。しんなりとした食感になりますので、コールスローや和え物、サラダなどに使うことができます。塩もみの手間が省けるうえ、減塩にもなりますね。千切りキャベツの冷凍であれば、熱湯をかけるだけでも解凍できます。よく絞って料理に使いましょう。
そのまま使うことも
スープや炒めものに使う場合は、凍ったまま使いましょう。冷凍することで火が通りやすくなります。加熱しすぎると食感が柔らかくなりすぎてしまいますので、注意が必要です。他の食材に火が通るころに入れると、ちょうど良い食感になりますよ。凍ったまま炒めると水分が出ますので、水分を飛ばすように強火で炒めると美味しく仕上がります。
冷凍キャベツを使った簡単レシピ
コールスロー
冷凍した千切りキャベツを使います。電子レンジを使うか熱湯をサッとかけて軽く解凍し、絞ります。にんじんや玉ねぎは千切りにして塩もみをし、しっかりと水気を絞ります。ボウルにキャベツ、にんじん、玉ねぎを入れ、マヨネーズ、レモン汁、砂糖、塩コショウを加えてよく混ぜ合わせましょう。レモン汁がなければ酢を使います。ハムやコーンを加えても美味しくなりますよ。
豚と野菜のトマト煮
ざく切りの冷凍キャベツを凍ったまま使います。フライパンにオリーブオイルを熱し、みじん切りにしたにんにくを炒めます。香りが出てきたら一口大に切った豚こまを入れ、豚こまに軽く火が通ったら短冊切りにしたにんじん、スライスした玉ねぎを入れて炒めます。トマト缶半分とコンソメ1個を入れ、材料がひたひたになる程度の水を入れます。沸騰したら冷凍キャベツを凍ったまま入れて、10分ほど煮込みましょう。ケチャップや塩コショウで味を整えれば完成です。
正しく保存して、無駄なく使い切ろう
キャベツは切って冷凍すると使い勝手がよく、保存期間も長くなりますので、ぜひ活用したいですよね。水溶性ビタミンが多く含まれるキャベツは、冷凍すると栄養が損なわれてしまいがちですが、すべての栄養素がなくなるわけではありませんし、食べきれずに無駄にしてしまうよりは、冷凍して食べきった方がいいですよね。正しく冷凍保存すれば、栄養素の流出も最低限で済みます。正しい冷凍保存保方法で、キャベツを美味しく無駄なく食べきりましょう。