野菜の力
2016年12月22日
きゅうりの栄養価とその効果!あらためて驚いた強力な美容・健康効果
夏野菜の中でもトップクラスの人気といえる“きゅうり”ですが、その栄養価については、あまりご存知ない、という方も多いのではないでしょうか。今回は、そんなきゅうりの知られざる栄養価や、美容・健康効果などについて、じっくりとご紹介していきたいと思います。
目次
あることでギネスブックが認定!
世界一カロリーが…
みなさんは、きゅうりが「あること」でギネスブックに認定されていることはご存知でしょうか?ギネスブックは、世界中のさまざまな「世界一」についての認定を行っていますが、きゅうりについては、1987年に「世界一カロリーの低い果実」として掲載されています。そして、これと同時に「きゅうりは栄養価が低い野菜」という認識が広まり、現在に至るというわけです。
きゅうりのほとんどが水分
きゅうりの成分としては、その90%以上が水分であるといわれています。これがつまりカロリーの低さを表し、従って栄養価も低いといわれる理由とされているのです。
美味しくて大人気!
たとえ栄養価が低くても、きゅうりは美味しい野菜に変わりはありませんよね。パリッとした歯ごたえとすっきりとした風味は、赤ちゃんの離乳食からお年寄りまで大人気。「好きな野菜ランキング」では、きゅうりがどの性別・世代においても、必ずといっていいほどトップ10にランクインしています。
きゅうりの美容・健康効果とは?
きゅうりにだって栄養がある!
「栄養価の低い野菜」という印象で、健康食のイメージとは程遠いように感じるきゅうりですが、しっかりと栄養は含まれています。主なものとして
- ビタミンC
- ビタミンK
- カリウム
- βカロテン
などがありますが、それらがもたらす美容効果、そして健康効果については後述にてお伝えしていきます。
低カロリーだからダイエット食としてピッタリ!
「世界一カロリーの低い果実」のギネス記録があるきゅうりですが、1本当たりのカロリーは、約14kcalとやはり低いため、ダイエット食として重宝されています。
身体を冷やして夏バテ防止
きゅうりの成分のほとんどは水分といわれていますが、これが身体をクールダウンさせる効果をもたらし、夏バテや熱中症予防に効果抜群といわれています。また輪切りやすりおろしたきゅうりを、日焼けした肌につけることもクールダウンとして効果的。ひんやりとした感覚が病みつきになると評判です。
しかし、食べ過ぎると逆に身体を冷やしすぎてしまう原因となるため、冷え性の方などは注意しましょう。身体を温める効果のある食べ物(ショウガ、にんじん、玉ねぎなど)と一緒に食べると、これを防ぐことができますよ。
カリウムでむくみを解消
ミネラルの一つとして知られるカリウムには、身体の不必要な水分を排出する効果(利尿作用)があります。きゅうりにはこのカリウムが含まれており、食べることで体内の余分な水分を排出、つまりむくみの解消につながるといわれているのです。
さらに高血圧も予防
ナトリウムの排出に効果があるカリウムには、血圧を下げる作用もはたらくとされています。適度にきゅうりを食べることで、高血圧症の予防にも役立つというわけです。
ビタミンKは骨と血液に効果的
ほうれん草やブロッコリーなどに豊富に含まれるビタミンKですが、きゅうりにも多く含まれており、摂取することでさまざまな健康効果をもたらすとされています。
まず、ビタミンKには骨に含まれるたんぱく質を活性化させるはたらきがあり、骨折や骨粗しょう症の予防に効果的といわれています。またビタミンKには、出血時に作用する止血因子を活性化させる効果があるともいわれているのです。
健康や美容に効果抜群のβカロテン
緑黄色野菜などに豊富に含まれるβカロテンですが、きゅうりにも比較的多く含まれていることで知られています。βカロテンには、
- 抗酸化作用でがん予防
- 丈夫な骨の生成
- 夜盲症の予防
などの健康効果はもちろん、
- 乾燥肌の予防
- 美肌効果
などの美容効果ももたらすといわれています。
髪や爪の健康にも
きゅうりに含まれるものの一つに、「シリカ(ケイ素)」という成分があります。このシリカは皮膚や髪の毛、爪などにもともと含まれている成分ですが、食品などで補うことにより、健やかで丈夫な肌や、髪の毛の生成に効果を発揮するとされています。キュウリを食べることでツヤツヤの髪や爪を手に入れることができれば、おしゃれにも一段と力が入りますよね。
シリカは育毛にも効果が!?
シリカには、細胞同士を結合させるコラーゲンを強くするはたらきがあり、これが頭皮にも作用することで、抜け毛をも防ぐといわれています。抜け毛や薄毛にお悩みの皆さん。きゅうりを食べればこれを食い止めることができるかもしれませんよ。
脂肪を分解して胃もたれ解消
最近の研究で、きゅうりには脂肪分解酵素である「ホスホリパーゼ」が含まれていることがわかりました。このホスホリパーゼは熱に弱いため、生のままでの摂取が鉄則ですが、きゅうりは生食がメジャーなので、より効果的に摂取することができますね。
きゅうりは、何といってもさっぱりとした味わいが特長です。胃の調子が悪い、というときには、是非ともこのきゅうりを食べてみるとよいでしょう。
気になる成分「ククルビタシン」とは
きゅうりに含まれている成分に、「ククルビタシン」というものがあります。あまり聞きなれないという方も多いのではないでしょうか。先端の苦みがある部分に多く含まれているとされており、
- 胃腸のはたらきを活性化する効果
- 抗ガン作用
などの効果がある一方、食べ過ぎるとまれに下痢などの食中毒症状を引き起こすといわれています。きゅうりの他、ズッキーニやカボチャなどの「ウリ科」の野菜に多く含まれていますので、適度な摂取を心がけることが、より良い効果へともたらしてくれるでしょう。
「きゅうりはビタミンCを破壊する!?」この噂を検証
「きゅうりを食べるとビタミンCを破壊してしまう」あなたは、このような噂を聞いたことがありますか?こう聞くと、「あまりきゅうりは食べない方がいいのかも…」と思ってしまいますよね。きゅうりは栄養価が低い野菜と言われてしまうのは、このような噂も一因となっているようです。果たして、本当にきゅうりはビタミンCを壊してしまうのか。そして本当にきゅうりの食べ過ぎはよくないのか。その辺りをご紹介したいと思います。
ビタミンCを酸化させる酵素がある
ビタミンCを破壊するとされているのが、きゅうりに含まれる「アスコルビン酸酸化酵素」という成分といわれています。この酵素は確かにビタミンCに作用することが分かっていますが、それは、ビタミンCを「破壊する」のではなく、「酸化」させるというのが正しい表現なのです。
酸化型ビタミンCの認識について
ビタミンCには、主に
- 還元型ビタミンC
- 酸化型ビタミンC
の2つの形があることが分かっています。
抗酸化作用や美肌効果、免疫力アップなどに効果を発揮するビタミンCは、「還元型」のビタミンCの方を指しています。そして、きゅうりに含まれるアスコルビン酸酸化酵素によって「酸化型」に変異したビタミンCは、その効果が消失してしまう、つまり健康効果が期待できなくなってしまう、という解釈ができるわけです。これがつまり、きゅうりがビタミンCを壊すという認識を植え付けてしまった原因ということになります。
酸化型ビタミンCは還元型ビタミンCに戻る
還元型ビタミンCが酸化型ビタミンCに変化する仕組みは先程ご紹介しましたが、近年の研究によって、酸化型となったビタミンCは、体内で還元型のビタミンCに戻るということがわかりました。
つまり、どちらのビタミンCを摂取したとしても、体内では健康作用のある還元型ビタミンCになることから、決してビタミンCの効果が消失する、ということではないということがお分かりいただけたかと思います。
サラダに入れても問題なし!
これまでこの噂を鵜呑みにし、「他の野菜のビタミンCを壊してしまうから、サラダにきゅうりは入れない方がいい」と思っていた方もいるのではないでしょうか。また、アスコルビン酸酸化酵素の活性化を防ぐため、きゅうりは酢やレモンなどと一緒に食べるようにしていた方も多いかと思います。
しかし、体内で還元型ビタミンCに戻るということがわかれば、どのような調理法でも、問題なくビタミンCを摂取することができるという訳なのです。
もっと効果的にきゅうりを食べるには
これまで、きゅうりに含まれる栄養素、そしてその美容効果や健康効果についてご紹介しましたが、やはり成分の90%以上が水分ということもあり、栄養価そのものは、他の食品に比べると少ないと言わざるを得ません。そこで、きゅうりの栄養をより効果的に取り入れる方法として、調理方法の工夫や、食べ合わせの工夫があります。ここでは、おすすめしたいきゅうりの食べ方についてご紹介していきたいと思います。
おすすめNo.1はぬか漬け!
日本の伝統食としてすっかりおなじみの「ぬか漬け」ですが、ぬか漬けの中でもきゅうりが一番好き!という方も多いのではないでしょうか。実はこのきゅうりのぬか漬けが、栄養面でも素晴らしいものである、というのです。
ぬか漬けにすると、野菜と共にぬかに含まれる栄養素も一緒に摂取することができることが一番の利点なのですが、そのままのきゅうりを食べる場合に比べると、ぬか漬けにしたきゅうりには、カリウム3倍、ビタミンCは1.5倍、そしてビタミンB1は10倍も含まれているそうです。また、発酵効果による乳酸菌が、アンチエイジング、そしてがん抑制などにも効果的とされ、さまざまな作用がプラスとなるのです。
ぬか漬けしたきゅうりには出来合いのものも販売されていますが、以上のような健康効果から、マイぬか床を持つ若い世代も増えてきたといわれています。ぬか床には、気軽に作ることができるセット販売などもありますので、是非とも試してみてはいかがでしょうか。
ワカメや納豆と一緒に
ワカメと共に酢の物にしたり、納豆に刻んで添えるのも、きゅうりのおすすめの食べ方です。きゅうりにある「むくみ解消」作用がこれらを食べ合わせることでさらに効果がアップとなりますので、少しのひと手間で美味しく、ヘルシーにいただくことができるのです。
タコやイカなども合う!
タコやイカなどの海鮮もきゅうりにはピッタリです。イタリアンな味付けにも合いますので、料理の幅がグッとひろがるでしょう。これらを一緒に食べると、さらなる高血圧の予防につながるといわれています。
ヨーグルトサラダで乳酸菌効果
ぬか漬けにすると乳酸菌の効果を得られる、というのは前述でもお伝えしました。「きゅうりを効果的に食べたいけど、急にぬか漬けは用意できない…」という方は、きゅうりをヨーグルトサラダにしてみてはいかがでしょうか。ぬか漬け同様に発酵作用がはたらき、美肌や風邪予防などにも効果的となっていますよ。
おばあちゃんの知恵袋!?こんな活用方法も
きゅうりパックって効くの?
テレビドラマなどで観たことある!というのが薄切りにしたきゅうりのパックです。先ほども少し触れましたが、日焼けした肌などをクールダウンしてくれるほか、ビタミンCなどの効果で美肌にも効果的とされています。
すりおろしたきゅうりもおすすめ
キュウリパックは、輪切りのほか、近年ではすりおろしたきゅうりでもおなじみとなっています。すりおろしたきゅうりに、はちみつ、牛乳、そして小麦粉をそれぞれ少々加え、それを顔に塗ることが、さらなる美肌効果を生むとして話題となっています。
また、すりおろしたきゅうりは火傷の治療にもよいといわれています。程よい水分が、やはりクールダウンに効果的なのですね。
直接肌につけるときの注意点
パックなどで直接きゅうりを肌につける場合は、肌に合わない可能性もあるため、慣れないうちは短時間で終えるなど、徐々に時間を延ばしての利用をおすすめします。
また、きゅうりには「ソラレン」という光毒性物質が含まれており、それが紫外線に作用することで、シミなどを作り出す原因になるといわれています。従って、きゅうりパックの朝の使用は控え、夜寝る前に行うようにすることが大切です。
まとめ
いかがでしたか?栄養が少ないとされるきゅうりですが、実はさまざまな効果をもたらすということがお分かりいただけたかと思います。食べるだけではなく、直接肌につけてもおすすめですので、日常の生活に是非とも取り入れてみてはいかがでしょうか。