野菜の力
2016年11月30日
ごぼうの栄養価とその効果!あらためて驚いた強力な美容・健康効果
食物繊維が多く、便秘解消にピッタリなごぼうですが、実は強力な美容効果、健康効果があります。美味しくて魅力たっぷりのごぼうについて、その栄養価や効果についてご紹介していきましょう。
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目次
意外と知らない?ごぼうの種類
短根種と長根種
ごぼうの種類は、長さによって大きく分けられ、30cm~50cmほどの長さの「短根種」と、70cm~1mほどの長さの「長根種」があります。全国的に生産量が多いのは長根種で、現在流通している長根種の多くが「滝野川ごぼう」という品種の系統なんですよ。
短根種には、「大浦ごぼう」や「堀川ごぼう」という品種があります。大浦ごぼうは千葉県匝瑳市大浦地区の特産で、長さは60cm程度、太いものだと直径は10cmにもなります。大浦地区で伝統的に栽培されているものは、成田山新勝寺に奉納されるため、一般的に市場には出回ることはありません。
堀川ごぼうは、長さが50cm程度、直径が6~8cmもある京都の伝統野菜のひとつです。先端がタコの足のように枝分かれしていて、中心部に空洞があるのが特徴です。太いごぼうに育てるために、栽培途中で横向きに植え替えます。
ごぼうの主な産地は青森県、茨城県、北海道、宮崎県、千葉県となっており、青森県はごぼうの年間収穫量の約30%以上を占めています。
新ごぼう
新ごぼうは、一般的なごぼうほどの大きさになるまで育てず、秋に植えたものをある程度育った初夏に収穫した、若取りのものです。まだ成長しきっていないため、長さ30cmほどと短く、皮が薄くて柔らかい食感が特徴です。香りがよくさまざまな料理に使われています。主に九州地方で栽培されており、柳川鍋は欠かせない食材なんですよ。
その他の品種
他にも、葉柄と小さな根を食べる「葉ごぼう」、肉質がやわらかめの「サルシフィ」という品種があります。葉ごぼうは香りがよくシャリシャリとした食感で、お浸しや天ぷらに、サルシフィは西洋ごぼうとも言われ、ドイツやフランスでは煮込み料理やスープ、付け合わせに使われています。
ごぼうの栄養素
食物繊維
ごぼうには食物繊維が豊富に含まれています。見た目や食感などから、そう感じている人も多いのでしょうか。一般的に野菜に含まれる食物繊維は水溶性食物繊維か不溶性食物繊維のどちらかであることが多いのですが、ごぼうには水溶性、不溶性の両方がバランスよく含まれています。
カリウムや葉酸
高血圧予防やむくみ防止に適していると言われるカリウムも豊富に含まれています。きゅうり100g中に含まれるカリウムは200mgですが、ごぼう100g中にはなんと320mgものカリウムが含まれているんですよ。また、妊婦さんに必要な葉酸、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類も豊富に含まれています。
ごぼうの美容効果
美肌効果・アンチエイジング
ごぼうには「タンニン」や「サポニン」、「クロロゲン酸」といったポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは紫外線などのトラブルから身を守り、若い細胞を作り出す働きを助けてくれます。強い抗酸化作用があり、老化の原因となる活性酸素を取り除いてくれますよ。3時間程度で抗酸化力が失われてしまうデリケートな成分であるため、こまめに取ることが理想的とされています。ポリフェノールは皮の部分に多く含まれていますので、タワシでこすって洗う程度にしておくのがおすすめです。
ごぼうに含まれる「アルギニン」という成分も美肌作りに役に立っています。成長ホルモンの分泌を促して若々しい細胞を作る働きをサポートしたり、コラーゲンの生成を促進してくれます。コラーゲン量は年齢とともに減少していくのですが、体内のコラーゲン量を保つことで、シワやたるみを防いで、弾力のある肌をたもつことができるのです。また、アルギニンは血管の老化を防止してくれるため、身体の隅々まで血液が行き渡り、クマやくすみの改善にもつながりますよ。
ごぼうは腸内環境を整えてくれる作用もあるので、腸内環境の悪化による肌荒れや吹き出物などの肌トラブルも防いでくれます。
むくみ改善
女性は特にむくみやすい傾向にあります。座りっぱなしのお仕事だったり、ハイヒールでの外出など足に負担がかかることも多く、生理前などは何もしなくてもむくんでしまう人も多いでしょう。ごぼうに含まれるカリウムやリンは利尿作用があることで有名ですよね。ごぼうの利尿作用はそれだけではありません。「イヌリン」にも利尿作用を高める効果があります。体内に溜まった余分な水分を排出してくれるので、むくみ解消も期待できますよ。
冷え症改善
女性に多い冷え症は、冬場は特に悩みの種ですよね。ごぼうに含まれるポリフェノールの一種「サポニン」には血液の流れを正常化し、血管内の血液を固まりにくくする働きがあります。朝鮮人参にもサポニンが多く含まれており、冷え症の女性におすすめの野菜として有名ですよね。血液の流れが正常化することで、体の末端まで血液が行き届きます。血行促進が冷え症緩和への近道ですよ。
ごぼうの健康効果
便秘改善
水溶性食物繊維の「イヌリン」は腸の働きを整え、不溶性食物繊維の「リグニン」は腸の蠕動運動を活発にさせる作用があります。一般的に野菜に多く含まれる不溶性食物繊維は、便のかさを増やし腸の蠕動運動を促進しますが、ストレスなどが原因の便秘には効果が薄く、摂取しすぎると便秘を悪化させてしまうことがあります。しかし、ごぼうには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれており、オリゴ糖も少量含まれていることから、便秘の解消だけでなく、腸内環境を改善し、便秘しにくい体質づくりにも役立ってくれますよ。
生活習慣病予防
ごぼうには高血圧や動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病を予防してくれます。ごぼうに含まれる「カリウム」は利尿作用があり、ナトリウムの排出を促すため高血圧の予防や改善に期待が持てます。
便秘改善にも役立つ「リグニン」が、コレステロール値をコントロールしてくれるうえ、ポリフェノール類にも血液をサラサラにしてくれる働きがあるため、動脈硬化の予防に効果を発揮します。「イヌリン」は摂取した食べ物と混ざり合ってゲル状になり、食べ物の体内への消化吸収の速度を遅らせます。そのため、血糖値の上昇が緩やかになり、糖尿病の予防が期待できるのです。
免疫力アップ
ナチュラルキラー細胞は免疫機能をつかさどっており、体がウィルスに感染したり細胞が悪性化したりと体内に異常な細胞が発生した際に、すぐにそれらを攻撃する働きがあるため、免疫システムの中でも特に重要な役割を担っています。ごぼうに含まれる「サポニン」にはナチュラルキラー細胞を活性化する働きがあるとされています。ごぼうに含まれている「アクチゲニン」は免疫細胞に働きかけ、抗炎症、抗アレルギー効果をもたらします。サポニンとアクチゲニンの相乗効果で免疫力が向上し、アレルギー症状の緩和などにも役に立ちますよ。
老化防止
ごぼうの有効成分でもある「アクチゲニン」は記憶障害を抑える働きがあります。認知症など脳の老化を予防する効果が期待できるとされていますよ。また、ポリフェノールの抗酸化作用で体の老化を防止することができます。中でも「サポニン」には、血管年齢を若返らせることができるので、体中に栄養素が行き届き、老化防止にもつながります。
がんの予防にも
不溶性食物繊維の「リグニン」は、発がん性物質を吸収して排出する働きがあり、大腸がんを予防してくれます。牛肉に含まれる「メチオニン」がリグニンの作用を高めてくれるため、牛肉とごぼうを一緒に食べると、相乗効果が期待できますよ。
美味しいごぼうを食べるために
ごぼうの旬
ごぼうは年間を通して流通していますが、旬のごぼうは味も香りも格別です。滝野川ごぼうなどの長根種は10月~1月ごろが旬で、特に流通量が多いのは12月ごろです。新ごぼうは12月ごろから出回り始め8月ごろまで市場に並んでいますが、4~6月ごろが旬となっています。
ごぼうの選び方
触ったときに弾力があって太さがなるべく均一なものを選びましょう。ひげ根が少なく、先端が緩やかに細くなっているものが美味しいごぼうです。ごぼうの表面が黒ずんでいたり、先端がしおれているものは避けてくださいね。一般的に太すぎるごぼうは、中にスが入り空洞になっていることがあります。しかし、中には大浦ごぼうや堀川ごぼうなど、太くてずっしりとしたものが良品とされている品種のごぼうもあります。
キッチンでの調理を考えると、土が洗い流されたきれいなものを選びたくなりますが、土付きごぼうの方が風味が良く、日持ちもしますよ。
ごぼうの保存方法
ごぼうは0度ぐらい保存するのが良いとされています。乾燥に弱いので、土がついているものは新聞紙で包んで、根が下になるように冷暗所に立てておけば、冬場は常温でも保存することができます。夏場は気温が高く傷みやすいので、適当な長さにカットして水洗いし、ラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存した方が良いでしょう。美味しく食べられる目安は一週間程度となっています。
土がついていないものは、湿らせた新聞紙などで包み、ビニール袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。使いかけのものもラップに包んで冷蔵庫の野菜室に入れます。土がついていないごぼうや洗ったごぼうは2~3日程度で使い切ってしまいましょう。
また、新ごぼうは土がついていないごぼう同様、鮮度が落ちやすいため、早めに使った方がいいですよ。保存の際は、新聞紙に包みビニール袋に入れて野菜室に入れましょう。冬場は冷暗所での常温保存でも問題ありません。
量が多くて使い切れないときは、ささがきにして軽く茹でれば冷凍保存もできますよ。冷凍すれば1カ月程度は美味しく食べることができます。冷凍する際は、しっかり水気を切って、できるだけ空気に触れないよう保存袋に入れて密閉してくださいね。
ごぼうを食べる際のポイント
食べ過ぎに注意
ごぼうに多く含まれているのは不溶性食物繊維です。水に溶けることなく、腸の中で水分を取って膨らんでしまいますので、便秘がちの人がごぼうを食べ過ぎてしまうと腸内に食物繊維が溜まり、便秘の悪化、腹痛や下痢を起こしてしまいます。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を一緒に摂ることで、便通が良くなり便秘解消に繋がります。水溶性食物繊維は、もずくやめかぶなどの海藻類や、キウイやバナナなどの果物、モロヘイヤや春菊などの野菜に多く含まれていますので、ごぼうと一緒に摂るといいかもしれませんね。
どんな食べ物にも言えることですが、いくら健康や美容に良い成分が豊富に含まれていると言っても、食べ過ぎはよくありません。いい効果を得たいのであれば、一度にたくさん食べるのではなく、日常的に適量を取り入れるようにしましょう。
皮ごと食べるとさらに良い
ごぼうを使うときには皮をむいて、アク抜きのために水にさらすという人がほとんどですよね?ごぼうを水にさらすと、水が茶色に変わりますが、この茶色の成分こそがポリフェノールです。見た目を良くし、えぐみを消すためには必要な工程かもしれません。しかし、その手間が栄養素を逃してしまう原因にもなるのです。ごぼうの皮には中身の2倍ものポリフェノールが含まれています。また、「イヌリン」や「グリニン」も中身よりも皮に多く含まれているので、皮はむかずに水にさらさず素早く調理すると、さらに効果的ですね。
新鮮なごぼうの場合、泥や汚れはたわしなどでこすって洗う程度にしておきましょう。新鮮ではない場合や皮が気になる場合でも、包丁の背でこするようにしてこそげ取るだけで十分ですよ。アク抜きをしたい場合は、短時間であれば問題ありません。切ってすぐ、5~10分くらい水につけるといいですね。できるだけ白く仕上げたいときは酢水につけるといいですよ。水が茶色く濁りますが、途中で水を取り替えてしまうと、旨味まで抜けてしまいますので注意してくださいね。
まとめ
体に良い成分がたくさん含まれているごぼう。煮物や天ぷら、炒めもの、サラダなど、ごぼうで作ることができる料理はたくさんあります。しかし、美味しくて体に良いとはいえ、たくさん食べれば効果が得られるというわけではありません。少しの量でいいので、ごぼうを日々の食生活に取り入れるよう心がけたいですね。