野菜の力
2016年11月30日
ごぼうは冷凍・解凍しても栄養は減らない?正しい方法と保存期間
切ったりアクを抜いたりと、下準備に手間がかかるごぼう。買ってきても1本使い切れないまま古くなってしまう、という人も少なくないのではないでしょうか。ごぼうは一度に下準備をして使わない分は冷凍しておくと、いつでも使うことができ便利です。今回はごぼうについて、正しい冷凍方法や保存期間をまとめてみました。
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目次
ごぼうの冷凍保存方法
生のまま冷凍保存
泥付きのごぼうは、たわしやアルミホイルをくしゃくしゃにしたものを使って洗い流します。洗ったごぼうをカットして5分ほど水にさらし、アクを抜きましょう。水気を切ったら密閉できる保存袋に入れて冷凍保存してくださいね。ごぼうには水溶性食物繊維が豊富に含まれています。ごぼうに水気が残っていると、流れ出てしまいますので、しっかりと水気を切り、さらにキッチンペーパーなどでふき取るようにすると、栄養素の流出を最低限に抑えることができますよ。
茹でてから冷凍保存
使うときの調理時間を短縮したいのであれば、茹でてから冷凍保存する方法もおすすめです。生のまま冷凍する場合と同じように、洗ってカットしたごぼうのアク抜きをしてください。沸騰したお湯にアクを抜いたごぼうを入れて茹でます。茹で時間の目安は、厚めにカットしたごぼうであれば2分程度、ささがきなどの薄切りのものならば40秒程度です。ザルにあげて水気を切ったら平たい皿などに移して粗熱を取りましょう。冷めたらキッチンペーパーなどで水気をふき取って、保存袋などに入れて冷凍します。茹でてから冷凍しておけば、使うときの加熱時間が短縮できますので、急いで食事の準備をしたいときや簡単に済ませたいときに重宝しますよ。ただし、茹でることで、生のまま保存するよりも栄養素が流出してしまいますので、ごぼうの栄養素を十分に取りたいという方には生のまま冷凍することをおすすめします。
あらかじめ調理してから冷凍保存
あらかじめ調理してから冷凍する、という方法もあります。例えば、きんぴらごぼうは冷凍保存することができます。ただし、コンニャクを冷凍すると食感が悪くなるため、コンニャクが入っているきんぴらごぼうの冷凍は避けた方が良いでしょう。1食分ずつ小分けに冷凍しておき、食べるときには自然解凍か電子レンジで加熱します。お弁当用のアルミカップやシリコンカップに小分けして冷凍しておくと、解凍せずにそのままお弁当箱に入れることができますよ。お弁当を食べるころには解凍されていますし、保冷剤の役割も果たしてくれます。
ひじきとごぼうの炒め煮なども、同じように冷凍しておくことができますよ。
冷凍するときのポイント
空気に触れないように
空気に触れると変色したり乾燥してしまいます。乾燥するとごぼうの食感が損なわれてしまいますよ。ささがきなどの薄切りのごぼうは特に乾燥しやすいので注意が必要です。ちょうどいい大きさの密閉袋がない場合は、小分けにしてラップなどでピッタリと包んでから密閉袋に入れると良いでしょう。
変色が気になるなら酢水を使おう
ごぼうを水にさらすと、水が茶色に変色しますが、それはごぼうに含まれるポリフェノールが原因となっています。変色が気になる場合は、カットした後でアク抜きに使う水を酢水にしておくと、変色が抑えられますよ。酢の匂いが気になるようであれば、2~3回水を変えることをおすすめしますが、何度も水を変えると栄養素や旨みがどんどん流れ出てしまうので、できるだけ短時間、できるだけ少ない回数で済ませた方がいいかもしれませんね。
調理方法に合わせた切り方で冷凍すると便利
サラダや炒めものには細切り、煮ものには乱切り、汁物や炊き込みご飯にはささがき、など調理方法によって切り方も変わってきますよね。冷凍する際には、何種類かの切り方に分けて保存しておくと、非常に便利です。細切りやささがきにした場合は、ひとまとめにして保存してしまうとごぼう同士がくっつきやすいので、1回分ずつに小分けして冷凍した方が良いでしょう。
ささがきが苦手な人は、ピーラーを使うと簡単にささがきごぼうを作ることができますよ。細切りにしたごぼうを冷凍する際に、細切りにしたにんじんも一緒に保存袋に入れて「野菜ミックス」を作っておくと、調理のときに更に便利ですね。
できるだけ急速冷凍
できるだけ急速に冷凍することが、ごぼうの美味しさを保つポイントのひとつです。保存袋はできるだけ薄く平らに伸ばし、金属バットに並べて冷凍するのがおすすめです。金属バットがない場合はお菓子が入っていた空き缶などでも代用ができます。ケーキを買ったときに付いてくる保冷剤などが冷凍庫にあれば、それを敷き詰めた上に缶のふたを置き、ごぼう入り密閉袋をのせるなど、できるだけ急速に冷凍できるよう工夫しましょう。
ひと手間かければごぼう同士がくっつかない
どんな食材でもそうですが、まとめて冷凍したら全部くっついてカチカチになってしまうことってありますよね。しかし、ちょっとしたひと手間で、くっつかないように冷凍できるんですよ。
普通に冷凍する時と同じように、カットしたごぼうを密閉袋に入れて冷凍します。1時間ほどしたら冷凍庫から取り出して、袋の上から軽くほぐし、冷凍庫に戻します。さらに1時間後、もう一度同じように軽くほぐして冷凍庫に戻します。これだけでごぼう同士がくっつかず、パラパラの状態で冷凍できるので、使いたい分だけ使うこともできるようになりますよ。
冷凍ごぼうの保存期間
ごぼうは非常に乾燥に弱く、土付きの新鮮なものでも、冷暗所での保存で1~2週間しか持ちません。洗ったごぼうや新ごぼうだと冷蔵庫の野菜室で3~5日程度、カットした物だとさらに短くて2~4日程度が保存できる期間となっています。それ以上保存できないわけではないのですが、古くなってくると中にスが入り、食感も悪くなってきます。しかし、冷凍したごぼうは1ヶ月程度の保存が可能になりますよ。しっかりと水気を切り、密閉状態で冷凍することが重要です。1ヶ月も保存できれば、無駄なく使い切ることができそうですね。
しかし、1ヶ月程度というのはあくまでも「目安」です。季節や室温、冷凍庫の開閉回数などでも保存期間は変わってきますので、臭いや味に違和感が出てきた場合は、1ヶ月経っていなくても処分するようにしてくださいね。もちろんできるだけ早く使い切った方が安心ですよ。
ごぼうを冷凍するメリット
下準備が一度で終わる
栄養価が高く美味しいごぼうですが、泥を洗い流して、皮をそぎ落として、カットして、アクを抜いて…と調理の下準備に手間がかかるのが難点です。毎回手間をかけるのが面倒なのでごぼうを使わない、という声を聞くこともあります。買ってきたときや時間があるときに、下準備をまとめて行ってから冷凍しておけば、使うたびに手間をかける必要がありません。下準備の手間も、ごぼうの下準備のたびに汚れるシンクの掃除も1度で済みますね。
無駄なく使い切れる
人数が多い家庭や煮物をたくさん作るときには問題ないのですが、人数が少ない家庭の一般的な食事の場合、ごぼうを買ってきても使い切るのは大変ですよね。「残った分は次回」と思いながらも下準備が億劫で腐らせてしまった、という経験がある人も少なくないのではないでしょうか。冷凍保存すれば保存期間が長くなるため、腐って捨ててしまうなどの無駄が少なくなります。ごぼうの下準備が終わっているため手軽に使え、簡単にごぼうを食事に取り入れることができますよ。
冷凍ごぼうの栄養素
ごぼうの栄養素
ごぼうには食物繊維が豊富に含まれています。「食物繊維=便秘解消」と思いがちですが、食物繊維には水溶性と不溶性があり、その両方をバランスよく摂取しなければ便秘は解消できません。一般的な野菜には水溶性食物繊維か不溶性食物繊維のどちらかが含まれていることが多いのですが、ごぼうは両方がバランスよく含まれているのです。また、強い抗酸化作用をもつポリフェノールや利尿効果のあるカリウムなど、健康や美容に効果がある栄養素がたくさん含まれているんですよ。そのため、ごぼうは便秘改善をはじめ、生活習慣病やがんの予防、アンチエイジングやむくみ改善などの効果に期待が持てる野菜です。
冷凍しても栄養は減らない?
ごぼうは冷凍しても栄養が低下することはありません。しかし、解凍する際には流出してしまう可能性があります。ごぼうの栄養素が流れ出るのは、カットした後の水にさらしているときや下茹でしているときなど、長時間水やお湯にさらしているときです。解凍する際には水分が出るため、ごぼうの栄養素が一緒に流れ出てしまうのです。
ごぼうの栄養素を減らしたくない場合は、カットした後水にさらす時間を短くし、さらした後はキッチンペーパーなどで水気をふき取るようにしましょう。生のまま冷凍し、凍ったまま調理するのが、栄養をできるだけ減らさない方法です。
解凍方法
凍ったままで調理できる
冷凍したごぼうは凍ったまま調理することができます。ささがきごぼうのように薄くカットしたごぼうやシャキシャキとした食感を残したい場合は特に、冷凍したまま調理することをおすすめします。薄くカットしたごぼうは水に軽くさらすだけでも解凍できますよ。火をしっかり通したい場合も、凍ったままの調理がおすすめです。
電子レンジでは半生解凍機能で
乱切りなどの大きめにカットした冷凍ごぼうなどは、電子レンジを使って解凍することができます。電子レンジで解凍する場合は、半生解凍の機能を使いましょう。半生解凍だと、煮物などにするときでも火が通りやすく、味もしみこみやすくなるため、美味しく仕上がりますよ。
電子レンジで完全に解凍してしまうと、食感が失われてしまいますので注意してくださいね。柔らかい新ごぼうなどは、電子レンジで完全に解凍して使用すると煮崩れしてしまうことがあります。
市販の冷凍ごぼうと自家製冷凍ごぼうの違い
市販の冷凍食品は、一気に急速冷凍されています。自宅の冷凍庫で冷凍するスピードとは比較にならない速さなので、栄養や水分がほとんど損なわれることなく冷凍されているのです。自宅で冷凍ごぼうを作る作業と比べ、細菌などが繁殖するリスクも低いですよね。収穫してから加工するまでの期間が短く、新鮮なごぼうが使われているという点も、市販の冷凍ごぼうの魅力です。
反対に、カットが一定であることが市販の冷凍ごぼうのデメリットとなります。自宅で冷凍ごぼうを作る場合は、一部はささがき、一部は乱切りなど、調理することを考えてカット方法を自由に決めることができます。自分が調理しやすいよう工夫できるのは、自家製冷凍ごぼうならではの魅力ですね。
冷凍ごぼうを使った簡単レシピ
ごぼうサラダ(ささがき・細切り)
冷凍したごぼうを沸騰したお湯に入れ30~40秒茹でます。きゅうりは薄くスライスしておきます。ザルにあげ、しっかりと水気をふき取ったら、水気を絞ったキュウリとマヨネーズ、しょうゆを入れ混ぜ合わせましょう。お好みで白ごまやシーチキンを加えるとさらに美味しくなりますよ。きゅうりではなくにんじんを使ったり、マヨネーズとしょうゆを胡麻ドレッシングなどに変えてもいいですね。ごぼうサラダは意外とアレンジの幅が広いんですよ。
ごぼうのきんぴら(ささがき・細切り)
冷凍したごぼうをフライパンで炒め、砂糖、しょうゆ、みりん、酒、ほんだしで味を調えましょう。ごぼうを冷凍する際に、にんじんも細切りにして一緒に冷凍しておくと、より調理時間を短縮することができます。コンニャクを加える場合は、冷凍せずに調理する時に足してくださいね。仕上げにごま油と胡麻を加えると、香りが良くなりますよ。
ごぼうと鶏の煮物(乱切り、ぶつ切り)
一口大にカットした鶏肉を炒め、表面の色が変わったら、冷凍したごぼうを投入します。油が回る程度炒めて、水、醤油、砂糖、酒、みりんなどで味を調え、火が通るまで煮込みましょう。軽く炒めたら煮込むだけなので、煮込んでいる間に別のおかずを作ることもできますね。冷凍したごぼうは、味がしみ込みやすいので、短時間でも美味しい煮物が完成します。
ごぼうを冷凍して上手に使おう
ごぼうには健康や美容に欠かせない栄養素が豊富に含まれています。生のまま冷凍し、凍ったまま調理すれば、手間もかからず美味しさも保つことができます。ごぼうを冷凍保存して、上手に使い切りましょう。